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冬に増えやすい膀胱炎

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こんにちは!獣医師の松本裕子です。

12月に入りました!二十四節気ではそろそろ大雪です。

まだまだ寒さが増していく季節。当院の玄関口のポインターくんも冬仕様になりました。

 

さて、寒くなってくると、どうしても飲水量が減りがちです。飲水が減ると、オシッコの量も減って、膀胱炎を起こすリスクが上がります。

なので今回は、冬に悪化しやすい!膀胱炎のお話です。

 

〜膀胱炎の話〜

☆ご自宅のワンちゃん、猫ちゃんに、こんな症状、ありませんか?

・一回にちょっと(少量)しかオシッコをしない

・普段より頻回にオシッコをしようとする

オシッコの色が普段と違う (例:赤〜茶色っぽい)

・オシッコがドロっとしている

・オシッコにキラキラしたものが混じる

どれかひとつでも当てはまる場合は、膀胱炎を起こしている可能性がありますので、お近くの動物病院へご相談ください。

 

1)どんな病気?

膀胱炎とは、オシッコを貯めている膀胱(ぼうこう)で、炎症が起きている状態です。健康ならよく伸び縮みするはずの膀胱が、炎症によりオシッコを貯め込めなくなり、頻尿の症状を示します。

また、オシッコに血が混ざったり(血尿)、細かい結晶が混ざったり、さらに細菌感染が起きると、ドロっとした尿(膿尿)になることもあります。

 

人では膀胱炎を起こすと、排尿の時に痛みを感じると言われます。ワンちゃん猫ちゃんではハッキリと痛そうな様子を見せるとは限りませんが、猫ちゃんでは痛みを原因にトイレが嫌いになって、トイレ以外で排尿するようになることもあります。

 

原因としては、細菌感染、尿結石によるものが多く、まれに腫瘤や腫瘍によるものもあります。

若い猫ちゃんでは、検査でハッキリとした原因が検出されない「特発性膀胱炎」と呼ばれる膀胱炎も多いと言われています。

 

2)診断

尿検査により、細菌感染の有無や程度、尿のpH (酸性/アルカリ性の傾き)、血尿があるか、尿結石の元になる結晶が出ているか、などをチェックします。

「ワンちゃんや猫ちゃんのオシッコを採取するのは難しそう…」と思われがちですが、膀胱炎の診断には大事な検査ですので、最初から諦めずに、まずはやってみましょう!

来院時に膀胱にオシッコが溜まっていれば、動物病院で採尿できる場合もありますが、膀胱炎を疑うような頻尿症状がある時には、なかなか難しいです。ご自宅では、ペットシーツを裏返したビニール面に排尿してもらったり、猫ちゃんならトイレ砂を出来るだけ退けて排尿してもらったり…とケースバイケースでトライしていくことになります。

 

また、超音波画像検査(エコー検査)やレントゲン検査で、膀胱の中に尿結石が出来ていないか、膀胱の壁に腫瘤病変が無いかなどをチェックします。膀胱だけでなく、腎臓に結石や出血があることもありますので、腎臓も合わせて検査する場合もあります。

 

3)治療って何をするの?

主な治療法を以下に挙げます。

 

・水分の摂取量を増やす

例えば、お家ではドライのフードをふやかして水分の摂取量を増やしたり、ウェットのフードの割合を増やしたりします。

猫ちゃんでは飲水の設置場所を増やしたり、流水を好む場合には飲水用の噴水を設置したり、普段から蛇口から細く水を出しておいたり、といった工夫をします。

動物病院では、点滴などを行って、水分摂取を補助してあげる場合もあります。

 

・尿結石や結晶がある場合は、 食事療法やお薬などで、尿のpHやミネラルのバランスを調節する

尿結石の種類や大きさ、量によっては、手術による摘出をおすすめする場合もあります。

 

・細菌感染がある場合には、抗菌薬の投与

細菌感染が重度だったり、繰り返す場合には、尿の細菌培養・抗菌薬感受性検査で、適切な抗菌薬を選択する必要があることもあります。

 

原因や症状、状態に合わせて治療を行なっていきます。

 

4)さいごに

膀胱炎は、ひとつの原因だけで発症するよりも、複数の要因が重なって発症するケースが多く、そのため繰り返し発症しやすい病気です。

放っておくと元気食欲も無くなってしまう場合がありますので、気になる症状がありましたら、ぜひ早めに、お近くの動物病院でご相談ください。

 

<注意>ブログ記事には私見を含みます。現在通院中のワンちゃん猫ちゃんの治療に関しましては、かかりつけの動物病院の先生の指示に従ってください。内容に関しまして、ご意見・ご質問はお問い合わせフォームからどうぞ。